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「主張」

※機関誌「宣教」(2008年6月号)「主張」欄より


 青年伝道


 先ず、お断りしておかなければならないことは、「青年伝道」という主題を巡って、連合長老会として、また常置委員会としてその共通の理解と主張といえるものがあるのだろうかと問う時、主張といえるものは未だ無く、これから記すものは、常置委員会の一員としての小生の私的意見であると御理解頂きたい。
 小生はかつて横浜のキリスト教主義の学校において学んだ。そこには「ハイ・Y」というYMCAの全国高校生の連合体組織の活動があり、その活動に参加していた。また、大学時代には神戸YMCAで青少年のためのキャンプリーダーとして奉仕していた。
 これらYMCA活動を通して教えられたことは、今迄キリスト教や教会とは全く無縁であった者がYMCAの働きを通して教会へと招き導くことが出来たということであった。
 当時教団の中には「青年委員会」「KKS」等の組織があり、教会に高校生・大学生・青年達が多く集まっていた。小生もハイ・Yの仲間やクラスの友人に声を掛け、誘い合って共に教会の礼拝や諸行事に出席した。受験勉強もそっち退けにして教会に入り浸りのこともあった。神戸YMCAにおいては、キャンパーからの相談を受け、保護者らに聖書の福音による教育方針がどんなに子供達の人格を大切にし、重要なのかを訴える機会となった。また、リーダー同士で、人生の悩み、苦しみについて心を開いて語り合い、真剣な祈りへと導かれ、その後教会に結び付くことが出来たとの報告を聞く喜びに浴することもあった。
 この時期青年達は「熱中して燃える」ことが出来たのであった。六〇年安保時代で学生運動の全盛期、青年達は積極的に社会、政治に対して発言し、行動した。変わることを期待し実行し少しでも善くなることを信じて。東京オリンピックに向けて社会も躍動し、希望に満ちた夢を見ることが出来る時代でもあった。相撲や野球で盛り上がり、少年マガジン、ビッグコミックが発刊され、グループサウンズ、フォークソングが持て囃されたのである。
 しかし七〇年安保によって、青年達は政治や学生運動に挫折し失望させられる。学園紛争の嵐が教会をも襲い、教会紛争の結果教団も青年高校生に対する伝道方策に自信を無くし、その情熱さえも失ってしまう。YMCAも「ハイ・Y」「学・Y」の活動を中止せざるを得なくなってしまうのである。
 青年達の「しらけ時代」の到来であり、若者達の教会での居場所が失われ、その結果若者の教会離れ現象を迎える。小生の友人達の中にも若い頃は熱心に教会に集い、受洗にまでも導かれた者が、最近は教会から足が遠のいているとの声を聞くことが少なくない。本当に残念なことである。殊に東京神学大学での紛争を経験した者の一人として考えさせられてきたことがある。伝道者として献身した者であっても挫折し、信仰をさせ捨て去ってしまう者もある現実の中で、信仰生活というものは「死に至るまで」守り続け、保持されるべきものでなければならないということである。若い時期の一時的な熱心は信仰者をどんなに沢山生み出したとしても、それはあまり意味あることではない。どんなに社会状況が変化しても、変わることなく、主イエスに結び付き、教会に仕え、教会を支えることの出来る信仰者を産み出す努力が青年伝道には肝要と思われる。
 連合長老会では長い間「中高生修養会」を計画実施して来た。それには良き指導者が与えられ、信仰指導が行われ、諸教会が献金を捧げ、参加者を送り出すことによって支えられている。そこには良き参加者の交わりが形成されているがその卒業生達が次に養われる受け皿の必要性を覚えて、改革長老教会協議会が「全国青年修養会」を立ち上げることになったのであった。
 そこでは何よりも「教会」を愛する青年に、教会を支えることの出来る青年になって欲しいという熱い祈りがある。次の世代の教会を支える長老達の誕生がその交わりから、そして伝道者たちが献身することが出来るようにその交わりが用いられるようにと願うものである。紛争時代の後遺症というべき断絶が一日も早く若者不在を克服することが出来るように祈る。


自由が丘教会牧師 阿部 祐治





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