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「主張」

※機関誌「宣教」(2009年10月号)「主張」欄より


 教会とキリスト教学校の連携


青山学院大学の宗教主任に就任し、早くも三年目を迎えています。自らの非力さを思わされると共に、未熟な者をも用いてくださる神に、畏れと感謝を覚えます。
 青山キャンパスの正門脇には、イギリスで宗教改革を行ったジョン・ウェスレーの大きな銅像が立っています。しかしその銅像を、イエス・キリストと思い込んだまま通り過ごし、卒業してゆく学生が少なからずいることに気づきました。学生たちの中には、青山学院がミッション・スクールであることを知らないで入学して来る人たちもいます。一方、キリスト教学校出身者で、聖書に関する知識をかなり身につけている学生たちもいます。そうした幅広い学生たちを対象に、キリスト教の概論を、大学の授業という一定のレベルを保持しつつ、講義しなければなりません。年に二回、キリスト教の授業を担当する教員が一堂に会し、勉強会を開き、模擬授業を行っています。他の教員がどのような授業をしているのか、お互いに学び合い、切磋琢磨し合う良い機会となっています。
 青学大は実に恵まれたキリスト教学校です。各学部には大学宗教主任と呼ばれる、所謂チャプレンがおり、現在は大学宗教主任だけで十人もいます(私の所属は経営学部)。「十人十色」という言葉もあるように、一人ひとりが豊かな個性の持ち主で、チーム・ミニストリーが形成されています。毎月開かれる大学宗教主任会では、学内のキリスト教活動について、詳細な報告や協議がなされます。
 青学大からは毎年のように献身者が輩出され、今春も卒業生が東京神学大学へ編入しました。青学大を卒業後、すぐに東神大へ編入する人もいれば、就職して何年か経ってから編入する人もいます。現在も献身を考えている学生が各学年に一人はいます。大学宗教主任会では、そうした学生たちを神学校へ送り出すことも、自分たちの使命であると自覚しています。
 今春、東神大を二六名の卒業生が巣立ちました。その内の五人が青学出身者であったことは、注目に値する出来事であると思います。
 最近、伝道とは息が長い業であると感じるようになりました。青学大を約二十年前に卒業された方が、昨年のクリスマスに、荻窪清水教会で受洗されたのです。卒業後の二十年間は仕事に追われ、キリスト教とは無縁の日々を過ごしていました。しかし或る時、無性に聖書の御言葉を聴きたくなり、教会の門を叩き、礼拝と聖書研究・祈祷会に出席されるようになりました。熱心に求道され、ついに受洗されたのです。この出来事を通し、福音の種を蒔き続けることの大切さを痛感しました。大教室で、百名を超える受講生、しかも必修の授業ともなると、熱心に講義に耳を傾ける学生もいれば、後方の席に座り、キリスト教には無関心といった様子の学生もいます。気後れする時もありますが、そんな時、福音の種を蒔くことの大切さを思い起こすと、勇気と希望を与えられます。蒔かれた福音の種は、長時間掛かろうとも、その人の内で静かに、しかし確実に芽を出し、実を結ぶ。そのことを信じ、福音宣教の業に励むのです。
 青山学院には「Wesley Hall News」という機関紙があり、今春第百号を迎えました。記念座談会の特集を組み、一貫教育を受けた数名の卒業生をお招きし、各自が受けたキリスト教教育について語って頂きました。その中に、次のような感慨深い発言がありました。
 「建設業界や不動産の仕事はお金が大きく動くので、悪い誘惑も非常に多い世界です。しかし青山学院で学んだことにより、人は見ていなくても、神様は見ておられるという意識が常にあります。業界のスタンダードではなく。心のスタンダードを持てたこと。自分のポリシーがキリスト教信仰によって明確にされたことは、本当に感謝したいことであると感じています」。この人は幼稚園から大学まで青山学院に在籍し、経営学部卒業後、建設会社に入社されました。数年後に会社を起業し、現在は不動産関係の仕事に従事する傍ら、日曜学校教師としても活躍しておられます。企業倫理を巡る諸問題が噴出する今日、改めてキリスト教教育の大切さを痛感します。
 キリスト教学校を巣立った人々が、教会で教職として、堅実な教会員として、これからも豊かな活躍をされることを祈り願います。


青山学院大学宗教主任・荻窪清水教会担任教師 砂民宣





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