牧師・教師とは何か。教会のかしらであられる主イエス・キリストは、ご自分のみわざを引き継ぐ使徒たちをお選びになられた。使徒パウロは、コリントの信徒への手紙T第一二章三一節〜第一四章五節「そこで、わたしはあなたがたに最高の道を教えます。…それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。愛を追い求めなさい。霊的な賜物、特に預言するための賜物を熱心に求めなさい。…しかし、預言する者は、人に向かって語っているので、人を造り上げ、励まし、慰めます。…預言する者は教会を造り上げます。…預言できればと思います。…教会を造り上げるためには、預言する者の方がまさっています」と語った。最高の道は愛を求めることであり、それは預言する賜物を求めることである。預言・説教こそが主イエス・キリストの体なる教会を造り上げ、人を教会の一つの枝として相応しく造り上げ、励まし、慰める。牧師には何よりもこの務めが課せられているのである。
教会改革者カルヴァンは『キリスト教綱要』第四篇第三章「教会の教師と仕え人、その選任と職務について」の二.で「…それ故、我々の論じるこの秩序とこのような種類の統治を、あるいは廃止しようと努力しあるいは余り必要のないものと見る者はみな、教会の散逸、いやむしろ破滅と滅亡とを望む者である。地上の教会の保持のために使徒的・牧者的職務が必要なのと比べて、現世の命を養い支える太陽の光と熱また食物と飲み物さえも必要性は劣る」としている。牧師も教会員も襟を正して聴くべき言葉である。
「全国連合長老会における、洗礼、聖餐に関する基本的見解」には「…各個教会長老会議の責任の下に行われる教会的行為(礼拝、説教、聖礼典の執行、伝道、奉仕等)は、地域長老会議(プレスビテリ)によってその権威を支えられている。地域長老会議(プレスビテリ)は教師を立て、派遣し、各個教会長老会議の記録を審査すること等を通して、各個教会長老会議を支え、指導し、その健全な歩みのために仕える」とある。
このように、聖書、教会改革者が語った言葉、全国連合長老会が目指すべき理想に照らし合わせて、各個教会や各地域連合長老会がどのように歩んでいるかが問われる。
牧師交代を迎えた時、いったいどういう手続きを踏むべきか。各個教会が、たとえば親しい牧師たちを介して後任牧師を迎えるのか、説教を聴き教会員の意見を聴いた後に招聘を決めるのか。否。このような私的な、各個教会主義的な手順を踏むと、自分たちの好みに合った牧師を迎える危険を犯し、各地域や日本全体の福音伝道を視野に入れた各地域連合長老会や全国連合長老会形成が危うくされる。
神奈川連合長老会や東海連合長老会では、人事委員会・後任牧師招聘委員会が設置され、全国連合長老会人事委員会、改革長老教会協議会、東京神学大学などと相談しつつ、当該教会の伝道牧会方針に相応しい後任牧師を推薦し、各個教会が招聘するという手順を踏んでいる。招聘手続き中において、招聘される牧師と招聘する教会ならびに人事委員会・後任牧師招聘委員会が確認すべき大切なことは、当該教会と招聘を受ける牧師双方の教理・教会観に基づいた伝道牧会方針とが一致していることである。また、些細なことかも知れないが、人事委員会・後任牧師招聘委員会は、各個教会長老会に対して、謝儀、光熱費、通信費(携帯電話、パソコンプロバイダー費用等)、交通費等細かい指導を行う。
地域連合長老会に推薦された牧師は各個教会に仕えるだけではなく、当然、地域連合長老会、全国連合長老会に仕える牧師として招聘される。地域連合長老会牧師会・会議などを通じて、説教者として指導・訓練を受け、各個教会に仕えるのである。東海連合長老会では、新たに招聘された牧師に対して、会議において、東海連合長老会に誠実に仕える誓約が求められ、九州連合長老会でも同じように、基本信条から日本基督教団信仰告白に至る信仰告白を誠実に受け入れる誓約を求められる。
こういう手順を文書化しておくことも必要である。東海連合長老会篇『牧師招聘の手引き〜その教理と手順〜』は良書である。
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