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「主張」

※機関誌「宣教」(2010年10月号)「主張」欄より


 教会規則について


一.砂に埋まらないために
 M・ルターはプロテスタント教会 の祖である。ローマ・カトリック教 会に対する改革運動はルター以前 にもすでに始まっていた。しかしそ れらの運動(フスなど)が単発的 で実を結ばなかったのに対して、ル ターは聖書を武器に果敢に戦いを 挑み、ついにキリスト教会の新しい 形を生みだすことになった。この戦 いは歴史の中で継承され今日にま で至る。「宗教改革が砂に埋まって しまうことから救ったのはカルヴァ ンであった、と教会史家カール・ホ ルはいう」(竹森満佐一「宣教」 四〇四号)。カルヴァンは宗教改革 の第二世代として、新しい教会の 制度や組織がなければ、どんな素 晴らしい信仰も消滅してしまう危 機感を抱いていたといえる。

二.危機に瀕する日本の教会
 一九世紀以降に、宗教改革を直 接に経験していない主にアメリカ経 由の自由教会の流れによって伝道 教化された日本のプロテスタント諸 教会は、日本キリスト教史上にさ まざまな花を咲かせてきた。しかし 同時にキリスト教を支えている基盤 としての教会はどのような形を持っ ているのかを省みて行く必要がある。 『キリスト教神学思想史』(熊野義 孝)に取り上げられているいくつか の項目を散見するだけでも、思想 の神学、政教論神学、教養の神学、 精神主義の神学、詩的キリスト教 など、日本のキリスト教の諸特徴 が見えてくる。要するに日本のキリ スト教も確かな教会的な基盤をも たないならば、ついに歴史に埋もれ てしまうであろうという指摘である。

三.教会形成の戦いを結実させる ために
 二〇一〇年六月蕃山町教会(岡 山)で第三五回全国会議が開催さ れた。その中で九州の一長老が長 らく教会を守り支えてきた経験から、 時は移り教会奉仕者(牧師も長老 も)にも変化がある中で、教会の 基本を明文化して継承する必要が あると発言され、教会規則の必要 を訴えられた。この危機感から出た 問題意識が重要である。
 教会はこの世にありながら、この 世を超えて神の国にまで至る明確 な信仰内容と枠組みを持ってこの 世にある。連合長老会は日本基督 教団にあってキリストの体としての 教会の自己理解と自己形成に目覚 め励んで歩んできた歴史を持つ。
 われわれの教会はいま、名実共 に危機に瀕している。しかし神の言 葉は永遠である。御言葉の受肉者 にして復活者であるイエス・キリス トの体としての教会は、「正しい秩 序と、キリストに対する固い信仰」 (コロ二・5)によって立つ。教会 のよって立つ信仰告白、教会の職 制、牧師の任務、長老の任務、長 老の選出基準などを再点検しなが ら、主要な教会の霊的、また地上 的な秩序全般を整えていくのが教 会規則制定の目的である。歴史の 中でこの具体的な支えなしにやって いけると思うのは歴史を知らない傲 慢である。
 同時に警戒しなければならないの は、規則の形式化である。規則を もつだけでは安心できない。規則の 背後にある教会形成の戦いに参与 して初めて規則は効力を持つ。
 筆者が現在仕える日本橋教会も、 教会活動の全般を総点検しながら 教会規則作成に向けて長老会で学 びを深めている。各教会の信仰の 先達たちの労苦が砂に埋もれてしま わないためにも、また教会がこの歴 史の中で明確に神の国を指し示し、 その道を踏み外さないためにも、最 小限の教会規則は必須事項である。 各教会長老会で、また地域長老会 で学びを深め規則制定にまでこぎ 着けることは長老会の重要な任務 である(参考改革長老教会協議 会発行、季刊『教会』第四〇号、 第六六号、第六七号)。


日本橋教会 宍戸基男





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