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「主張」

※機関誌「宣教」(2012年8月号)「主張」欄より


 改革長老教会協議会の今


 連合長老会の先輩教職、長老の 方々の中には「最近の教職の中に 地区、教区、教団にのめり込んで いる者がおり怪しからん」と思っ ておられる方があるのではないか と想像しています。
 連合長老会は教団と無縁であり 得ません。連合長老会規約の一、 では「全国連合長老会は日本基督 教団内にある改革教会の信仰と長 老制度とを重んずる諸教会によっ て形成された各地域連合長老会の 共同体である」と謳われています。 「教団内にある」との連合長老会 の自己規定は明らかです。二、で は「一八九〇年に制定された日本 基督教会信仰の告白に基づいて、 一九五四年に制定された日本基督 教団信仰告白を信仰する」とされ ました。規約の一、二から最近の 連合長老会は教団に傾いているの ではないかと判断なさるのでしょ うか。小生自身は、連合長老会は 教団がいかなる方向へ傾斜したと しても連合長老会として追求して いかねばならない課題があると、 連合長老会に対してロマン理想を 求めている者の一人です。
 最近一冊の小さな書物を読みま した。『日本基督教団実録教 団紛争史』(小林貞夫著、メタ・ ブレーン出版)です。著者は教団 の正常化を願う福音主義教会連合 の常任委員であり、教団常議員で あって、長らく教団年金局理事長 として御奉仕下さった信徒の方で す。読み始めて一息にあっという 間に読み通した大変興味深い教団 紛争史でした。
 教団は創立七十年になりますが、 その半分以上の三十八年間は、い わゆる教団紛争の歴史と重なりま す。一九六九年に始まり、二〇〇 六年に一応の終わりを示したその 教団紛争の実録という形で本書は まとめられています。小生は一九 七一年神学校を卒業し、伝道者と しての歩みを始めた者であって教 団紛争とは無縁ではいられなかっ た者の一人です。
 ある一面、連合長老会も教団紛 争の中で発足し、改革長老教会協 議会もその運動が開始されたと云 うことが可能でしょう。それと同 時に、教団紛争終結のために福音 主義教会連合と連合長老会、改革 長老教会協議会とが共に協力して 教団紛争解決のために励んできた ことは評価することが出来ます。 最近、それぞれ福音主義教会連合 の総会に協議会議長の小生と事務 局長の寺田信一牧師がゲストとし て陪席し、全国協議会に福音主義 教会連合の議長長山信夫牧師がゲ ストとして出席して下さり、相互 の交わりの時としています。この ような状況の中にあって、最近積 極的に地区、教区、教団の役職を 担う教職が連合長老会、改革長老 教会協議会に属する教会から輩出 されるようになってきたのです。
 「教憲」の前文の中に「わが国 における三十余派の福音主義教会 およびその他の伝統をもつ教会は、 それぞれ分立していたが、一九四 一年六月二十四日くすしき摂理の もとに御霊のたもう一致によって、 おのおのその歴史的特質を尊重し つつ聖なる公同教会の交わりに入 るに至った。かくして成立したの が日本基督教団である。」と教団 成立経過を記していますが、ここ で殊に覚えておかなければならな いのは「おのおのその歴史的特質 を尊重しつつ」と教会の伝統を相 互に大切にする可能性を容認して いる事実です。
 歴史的教会は正典(キャノン)、 信条(クレド)、職制(オルド) を無視しては在り得ません。自ら の教会の伝統を自覚的に認識する ことによって積極的に教団形成に 貢献することになるのです。人間 中心的な教会形成ではなく、神中 心的なキリストの教会を形成して 行こうと願う時、今更のように協 議会運動出発の際の「基本線」、 殊にニカイア・コンスタンティノ ポリス信条、(一八九〇年の)信仰 の告白、そして教団信仰告白を継 承、承認して、主の教会を形成す ることの重要性を覚えるものです。


自由が丘教会 阿部 祐治





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