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「主張」

※機関誌「宣教」(2013年5月号)「主張」欄より


 青年伝道を巡って


 いつの時代も、教会の大切な業 の一つが、青年への伝道です。し かし今日、青年伝道の成果が十分 に見られない厳しい現実がありま す。特に地方教会において、青年 の姿が見られない状況にあって、 教会の将来を危ぶむ声も上がって います。しかし、伝道は嘆いてい ても始まりません。預言者エゼキ エルは、主の御手に導かれて廃墟 に化したエルサレムに連れて行か れ、幻の中で新しい神の神殿を見 ました。バビロン捕囚から解放さ れた後、自分たちが描くささやか な神殿計画を遥かに超える神の遠 大な神殿建設計画・設計図を見せ られ、エゼキエルはそこから希望 を与えられました。私たちの伝道 も、日本における神の伝道計画・ 設計図という幻を見ることから始 まります。日本伝道の希望は、私 たちの伝道計画の中にあるのでは なく、神の幻にあるからです。
 連合長老会は中高生修養会を毎 年行い、今年で四九回目を迎えま す。この修養会に参加した中高生 が、青年になっても教会に連なる ことを願って、改革長老教会協議 会主催の全国青年修養会が行われ るようになりました。参加者の多 くが中高生修養会に参加した者た ちですし、中高生修養会のスタッ フの多くが全国青年修養会も担当 しています。中高生から青年への 伝道、信仰教育の一貫性を重んじ てのことです。更に、中高生修養 会の場所である天城山荘で同窓会・ 修養会を行いたいとの青年たちか らの要望を受けて、天城っ子の集 いも行われています。また昨年は、 二〇一七年宗教改革五〇〇年を目 指して、教団内にある様々な中高 生・青年の会合同の中高生・青年 大会が軽井沢で開催されました。 一〇〇教会二七〇名の参加があり、 私たちのスタッフも参加し、協力 しました。
 各個教会に集う中高生、青年の 数が一人二人でも、これら全国の 修養会に出席すると、多くの同世 代と出合い、様々な悩みや信仰の 問題を共有し、話し合うことがで きます。また、メイルでお互い連 絡を取り合って、励まし合いなが ら、教会に連なることの喜びを分 かち合うことができます。
 さて今年は、『ハイデルベルク信 仰問答』が制定されてから四五〇 年の記念の年に当たります。日本 の教会が洗礼志願者の信仰教育の ために、最も愛用してきました。 青年のための教理教育に用いられ てきました。かつて改革長老教会 協議会が数年に亘って年末に、東 京神学大学を会場として、『ハイ デルベルク信仰問答』のセミナー を行ったことがあります。私が山 田教会に伝道師として赴任をした 年にも行われました。冨山光一牧 師から「是非、出席しなさい」と 背中を押されて出席しました。東 京神学大学では、「信仰問答」の 学びをしっかりしていないだろう。 教会において、「信仰問答」の学 びがいかに大切であるかを体得さ せるために、若い伝道師を送り出 したのでしょう。私たちが愛用し ているもの、愛着があるものは、 常に傍に置いてあるか、身につけ て手放しません。それと同じよう に、教会に生きる私たちが、聖書 の御言葉を身に着けると共に、教 理を身に着けることは欠かせない ことです。青年たちが、『ハイデル ベルク信仰問答』を手放せない程、 愛着を持ち、一つ一つの信仰問答 の言葉を身に纏って生きることが できたら、どんなにか素晴らしい ことでしょう。
 そこで提案です。『ハイデルベル ク信仰問答』制定から四五〇年の 記念の今年、各地域連合長老会に おいて、『ハイデルベルク信仰問答』 のセミナーを持ったらどうでしょう か。牧師、長老が指導者になって、 信徒、青年、求道者のために説き 明かす信仰問答の一つ一つの言葉 が、日々の生活の歩みを導く喜び のリズムとなることを願って。『ハ イデルベルク信仰問答』の「ただ 一つの慰め」の調べが、日本中に 響き渡る一年となることを願って。


山田教会 井ノ川 勝


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