< HOME

規約と信仰告白
「主張」
全国連合長老会ニュース
加盟教会一覧
出版書籍
カテキズム教案


「主張」

※機関誌「宣教」(2014年7月号)「主張」欄より


 執事職をめぐって


 信仰職制委員会は現在、「全国 連合長老会における牧師、教師、 長老、執事に関する基本的見解 (案)」を作成しています。今回、 「主張」で取り上げるのは、「執事 職」です。
 全国連合長老会編『長老教会の 手引き』に、「執事」理解が述べ られています。「執事は、牧師お よび長老を補佐して、教会の事務 会計などの実務を職務とする」。 この文言が語るように、日本の教 会は執事を長老の予備候補として 位置付け、長老の下で事務会計を 補佐してきました。しかし近年、 執事職を改革長老教会の伝統の下 で正しく受け止め直し、教会に位 置付けて行こうとする動きが現れ ています。エルシー・アン・マッ キー著『執事職―改革派の伝統と 現代のディアコニア』(井上正之・ 芳賀繁浩訳、一麦出版社)、藤掛 順一著『教会の制度―なぜ牧師、 長老、執事か』(全国連合長老会) を始め、執事に関する文献を身近 に手にすることができるようにな りました。今日、日本の教会に執 事職をどのように位置付けて行く かは重要な課題です。勿論、各個 教会の置かれた状況も異なります ので、執事職を置いていない教会 もあります。長老が執事職を担っ ていたり、社会委員会が担ってい る教会もあります。それぞれの教 会、地域長老会に合った形で、執 事職を位置付ける必要があるでしょ う。
 「執事」(ディアコノス)は、 「仕える、奉仕する」(ディアコネ イン)から派生した言葉で、「仕 える者、奉仕者」という意味です。 執事職の起源として挙げられるの が使徒言行録六章一〜六節です。 教会員の献げものを、社会的に弱 い者たちに援助・分配するため、 愛の奉仕をするために奉仕者(執 事)が立てられました。その目的 は、教会が神の言葉をないがしろ にせず、使徒たちが祈りと御言葉 の奉仕に専念するためでした。
 長老制度の教会は、「全国連合 長老会における洗礼、聖餐に関す る基本的見解」の「前提」に述べ られているように、み言葉の宣教 と聖礼典執行の職務を担う「宣教 長老」(教える者)、教会を牧する 職務を担う「治会長老」(治める 者)、教会における愛の奉仕が整 えられるための職務を担う「執事」 (施す者)の三つの職務により、 キリストの「預言者」、「王」、「祭 司」としての多面的なご支配が教 会に行き届くことを目指していま す。カルヴァンは『キリスト教綱 要』W巻三章九節で、執事職の二 種類の働きを挙げています。第一 が「施し物を管理すること」。こ れが今日の「献金の管理」へ継承 されて行きます。第二が「貧しい 人や病人の世話をすること」。こ れが今日の「高齢者、病者、障が い者への配慮」に継承されて行き ます。更に、それはこの世にあっ て助けを必要とする者たちへの執 り成しと祈りに生きるために、教 会の財貨を用いての社会的な奉仕 へと展開されて行きます。これが 今日の社会福祉の業へと継承され て行きます。
 宗教改革の三本柱の一つが「全 信徒祭司職」ですが、それを具体 的に展開したものが「執事職」で す。その意味で、選ばれた特定の 者たちだけが執事職を担うのでは なく、すべての信徒が執事、すな わち「全信徒執事職」であると言 えます。「執事職」のこのような 聖書理解、宗教改革者の理解を、 今日、日本の教会が具体的にどの ように展開して行くかは、一様で はなく、それぞれの教会が置かれ た状況によって多様に展開すべき ものです。高齢化社会の今日、教 会の中にも高齢者が増えています。 独りで生活されている方、病床の 方もいます。訪問、お世話、礼拝 出席への送迎等が求められます。 また、視聴覚障がい者のための点 字、印刷物の作成、朗読の奉仕。 車椅子で礼拝に出席する者のため の配慮等、奉仕は様々にあります。 信徒ひとりひとりが愛の配慮と奉 仕に生きることが求められます。 教会は愛の奉仕に生きる共同体で す。このような愛の奉仕の根底に あるのは、弟子たちの足を洗われ、 お互い仕え合うことを求められた 主であり師であるイエス・キリス トの愛の奉仕です。


金沢教会 井ノ川 勝






「主張」




▲このページのトップへ



日本基督教団 全国連合長老会 All Rights Reserved.