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※機関誌「宣教」(2019年4月号)「主張」欄より


 「キリスト教学校と連合長老会」


 北陸伝道において、北陸学院と諸教会との連携は欠かすことができない関係にある。米国北長老教会宣教師トマス・ウィン、イライザ・ウィン夫人、メリー・ヘッセル等の伝道により、金沢教会を初めとする諸教会、今日の北陸学院が創立された。浄土真宗の強い北陸の地にあって、日本人への伝道のために教会建設とキリスト教教育とは欠かすことのできないものであると、ウィン宣教師を初めとする宣教師たちは伝道のビジョンを抱いていた。北陸学院は今日、幼稚園、小学校、中学・高等学校、大学を有するキリスト教学校であり、「ミッション」と呼ばれている。
 さて、主題は「キリスト教学校と連合長老会」である。北陸連合長老会が北陸学院とどのように関わっているか、公的見解を持っているわけではない。しかし、北陸連合長老会に加盟しているそれぞれの教会、伝道者が、北陸学院に積極的に協力することなしに、北陸伝道はあり得ないという召命を与えられている。日本各地において、キリスト教学校と教会との連携が最も親密であるのは、北陸ではないだろうか。北陸学院の歴代の院長が伝道者であるということが、共に北陸伝道を担う祈り合う交わりとしている。教会は北陸学院に教職員を送り出し、北陸学院は教会に生徒、学生を送り出す。
 筆者は六年前、金沢教会へ主から派遣された。当時、金沢教会の長老一二名の内、八名が北陸学院の関係者であることに驚いた。教会員の多くが北陸学院の卒業生であり、また教職員である。教会学校には北陸学院小学校、中学校の生徒、学生が、主日礼拝には北陸学院高校、大学の学生が多く出席している。十数名から多い時には五十名以上の学生が礼拝に出席する。従って、説教の言葉が学生たちの心に響く言葉になっているかどうかが、毎主日、問われている。年間、数名の新来会者しかいなった伊勢の山田教会とは全く異なる。それ故、連続講解説教から主題説教に変えた。一回一回の主日礼拝が、会衆の魂をぐいと捕える福音の言葉を語っているかが問われる真剣勝負である。幸い毎年、北陸学院の高校、大学生から受洗者が与えられている。しかし、卒業すると、金沢を離れ、東京、関西の大学、企業に進学、就職するので、淋しい思いをする。その中に、北陸学院で聖書の御言葉を伝えたいという志を持つ学生がいることは嬉しいことである。金沢教会の礼拝には現在、北陸学院の教務教師が四名出席している。北陸学院中高の校長、宗教主事、小学校の宗教主任である。北陸学院と教会との橋渡しをする大切な役割を担っている。礼拝に出席すると、いつも学校で顔を合わせている先生が教会にいることは、大きな励ましである。
 しかし課題もある。以前のように教会が北陸学院に教職員を送り出すことが少なくなっている。キリスト教教育を担うキリスト者の教職員をいかに確保するかはキリスト教学校にとって死活問題である。特に、地方のキリスト教学校が、信仰においても人格においても学問においても優れた人材を確保することは厳しいものがある。教会の祈りを必要としている。
 金沢教会は毎年五月の第一主日が教会創立記念礼拝であり、ウィン宣教師召天記念として、墓前祈祷会を捧げている。ウィン宣教師の北陸伝道の志を受け継ぐためである。一九三一(昭和六)年二月八日の主の日、吹雪の寒い朝だった。八一歳のウィン宣教師は説教前に倒れ、逝去された。手に握られていた説教原稿はこの言葉で結ばれていた。「信じている人はこの肉眼で美しい景色を見るように、心眼で限りなき生命を見ることができる。『我に従う者は、生命の光を得べし』。何とぞ、ヨハネの言葉をお受け下さい。そして主イエスをお信じなさい。これが私の衷心からの願いである」(『日本の使徒トマス・ウィン伝』中沢正七編、金沢教会長老会)。


金沢教会 井ノ川 勝


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