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※機関誌「宣教」(2019年5月号)「主張」欄より


 「教職の健康管理と牧会」


 テモテへの手紙一第五章二三節で使徒パウロは愛する弟子テモテに「これからは水ばかり飲まないで、胃のために、また、度度起こる病気のために、ぶどう酒を少し用いなさい」と勧めています。連合長老会加盟の諸教会に神様から派遣された教師は、わたしたち教会員の愛する教師であり、かけがえのない牧会者です。その教師が身も心も健全で御言葉を大胆に語り続けるためには、それにふさわしい配慮が必要だと思います。各教会に派遣された教師は、神学校を出たばかりの若い教師からベテランの教師まで経歴は様々です。しかしその教師たち一人一人にふさわしい形で配慮がなされているかはどうなのでしょう。パウロが語るように教師にふさわしい心遣いがなされているのでしょうか。
 全国連合長老会の常置委員会で最近耳にするのは、教師の病の報告の多さです。心身ともに疲れ切った教師が精神的に追い詰められた結果、うつ状態になった例とか、癌、心臓疾患、脳梗塞等々。教師も同じ人間ですから、様々な病気にかかるのはやむを得ないでしょう。しかし、そのように病んで苦しんでいる教師に十分な配慮がなされているでしょうか。
 同じテモテへの手紙の少し前のところには「特に御言葉と教えのために労苦している長老たちは二倍の報酬を受けるにふさわしい、と考えるべきです」とあります。この長老は現在の牧師のことを指しています。
 第四三回全国連合長老会会議資料によると加盟九四教会のうち三二教会の年間予算が六百万円未満でした。地域によって生活費に差がありますが、およそ三分の一の教会が牧師に十分な謝儀をお渡しできないということでしょう。
 牧師は個人事業主ですから、健康管理は自分で行うことになります。不足がちの謝儀から、健康診断の必要性を十分理解していても、ついおろそかになりがちではと心配になります。牧師の健康は、家族にも、教会にもとても大切です。牧師が身も心も健康でなければ、十分な牧会はできないでしょう。
 二〇〇八年四月一日より各医療保険者(国民健康保険、健康保険組合、共済組合、全国健康保険協会管掌健康保険等)が四〇歳から七四歳までの被保険者に対し「特定健康診査」を実施しております。また、一八歳から三九歳の市民を対象とした若年層健康診査が実施されております。私事ですが、この健康診査で三年前に癌が見つかり手術して二年が経過しました。幸い発見が早かったので以前と変わらない生活を続けております。
 今、日本では癌は(特に男性の場合)二人に一人は罹る病気だと言われています。しかし、早期発見であれば生存率は格段に良いのも事実です。定期的な健康診査を受けることが重要になってきます。また、うつ病の患者はどこにもあふれている状態です。牧師にかぎりません。病気と付き合いながら働いている方も大勢います。牧師は意外に他人に相談するのが下手ではないかと思いますが、いかがでしょうか。収入が少ないこととか、他人に相談しにくい(教会員からは相談されるのに)とかがあるように思われます。
 ここに、各個教会長老会のまた、地域連合長老会の課題があるのではないでしょうか。牧師が遠慮することがないような仕組みを構築できればと願います。最低限ではありますが、地域で教職の健康管理を体系的に実施することが必要ではないでしょうか。繰り返しになりますが、教師は意外に孤独ではないかと思います。地域連合長老会が十分機能していれば教師同士の交わりもあり、同労者の健康状態も把握できるでしょうが、現状は気が付いたら少し手遅れ気味ということもあるのではないでしょうか。是非とも各地域の連合長老会でも、教師会でも、各個教会長老会でも検討していただきたいと思います。


十貫坂教会長老 石田 篤 


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