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※機関誌「宣教」(2020年4月号)「主張」欄より


 「改革長老教会協議会と連合長老会」


 日本基督教団改革長老教会協議会は一九八五年四月二九日、鎌倉雪ノ下教会の新会堂で開催された第一回全国協議会において歩みを始めた。一〇九教会、三四五名の教師、長老、執事が出席した。改革長老教会協議会が誕生した背景には、日本基督教団の危機的状況と共に、日本伝道の危機的状況があった。閉塞状況に陥った日本伝道に、風穴を開けて新たな歩みを拓きたいという祈りがあった。
 改革長老教会協議会は、全国連合長老会の常置委員会、全国会議で発議され、可決された上で、歩みを始めたものである。日本基督教団にあって、改革派の信仰、長老制度に立つ教会形成をより広く呼びかけることによって、日本における公同教会の形成に参与しようとする祈りがあった。連合長老会が改革長老教会協議会運動を推進することにより、各地に地域長老会が誕生することを願った。実際、改革長老教会協議会運動が呼び水となって、三重、北陸、和歌山、神奈川、九州、東日本で連合長老会が誕生した。そして昨年、東北改革長老教会協議会が東北地域長老会として新たな一歩を踏み出した。改革長老教会協議会が発足して三五年を迎えた。三五年の歩みを振り返る時に、主が豊かな実りを与えて下さったことを感謝すると共に、しかし尚、各地で協議会運動に留まり、その協議会運動も停滞し、地域長老会が形成されていない現実があることに、主の御前で懺悔するものである。
 改革長老教会協議会は連合長老会が生み出したものである。改革長老教会協議会の発足当初から、連合長老会と改革長老教会協議会との関係が激しく論議された。二つの理解があった。一つは、連合長老会と改革長老教会協議会とは、「楕円の二つの焦点」である。連合長老会は組織体、改革長老教会協議会は運動体である。改革長老教会協議会が運動体に留まり、地域長老会形成に一歩踏み出さなければ、勉強会に留まり、真実の教会形成はなされない。また、各地の改革長老教会協議会が地域長老会となった時、全国連合長老会と相容れないものが形成されるのではないかという危惧もあった。その中心にあったのは、「一八九〇年の信仰の告白」の捉え方にあった。もう一つの理解は、連合長老会と改革長老教会協議会とは「同心円」である。改革長老教会協議会が第一回全国協議会で採択した「基本線」はこうである。「基本信条(殊にニカイア・コンスタンティノポリス信条)が告白している信仰を規範とし、改革長老教会の伝統に立って日本基督教会が一八九〇年に制定した信仰の告白を失うべからざる信仰の遺産として継承し、日本基督教団信仰告白を承認して教会を形成する」。この「基本線」に沿って採択した「申し合わせ」に、この条項がある。「私どもは、各地に信仰告白の一致に基づく伝道協力組織を結成する」。全国連合長老会規約第二条は、発足当初からこうであった。「全国連合長老会は聖書を基準とし、基本信条ならびに福音的諸信条に示された福音理解を継承しつつ、一八九〇年に制定された日本基督教会信仰の告白と一九五四年に制定された日本基督教団信仰告白を併せて採択する」。この二つの信仰告白の「併せて採択する」との神学理解を巡り、喧々諤々の論議がなされた。そして二〇〇八年の第三三回全国会議において、「規約第二条の改正」が可決された。「全国連合長老会は聖書を基準とし、使徒信条、ニカイア・コンスタンティノポリス信条、アタナシウス信条、カルケドン信条に準拠し、改革教会の諸信仰告白に言い表された信仰を継承し、一八九〇年に制定された日本基督教会信仰の告白に基づいて、一九五四年に制定された日本基督教団信仰告白を告白する」。この「基本線」と「規約第二条」において、改革長老教会協議会と連合長老会とは、「同心円」として立つ関係を現わしている。それ故、私たちの祈りは一つである。各地域の協議会が地域長老会として形成されるように。


金沢教会 井ノ川 勝






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