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「主張」

※機関誌「宣教」(2020年9月号)「主張」欄より


 九州連合長老会の伝道協力


 今年、九州連合長老会は発足二〇周年となる。これまでの歩みを振り返りつつ改めて伝道協力とは何かを考えてみたい。
 この二〇年で加盟教会のほとんどが牧師交替を経験した。そのすべてに九州連合長老会が関わり、個教会単独で人事を行なうことがなかった点は評価すべきことだろう。また、たとえ無牧師になったとしても代務者はもちろん、主日礼拝も我々の仲間で支えることができた。時には全国から応援をいただいたこともあった。
 九州教区に在っては、特に教会の信仰と制度を守るために人事は要である。人事一つでこれまで苦労して積み上げてきたものが一気に崩れ去ることは決して稀なことではない。加盟教会も交替する教師もその点をよく理解し、信頼関係の中で委ねていただいていることにまずは感謝申し上げたい。
 『日本基督教会鎮西中会記録』(日本基督教会柳川教会編)には「大正・昭和期の教会・伝道所」として当時鎮西中会に加盟していた五七の教会・伝道所の分布図が掲載されている。もちろんその中には日本基督教団設立と共に新しい教会を形成していった群れがあり、また沖縄教区として分かれた教会群も含まれるが、日本基督教団にとどまった教会はその後どうなったのか。もちろんここでその名前を挙げることは控えなければならないが、同じ教派的伝統を持ちながら、もはやまったく異なる教会形成に進む教会をいくつも数えることができる。我々は、そのように引き裂かれた教会の、声にならない叫びや痛みを負って結成されたということを忘れてはならない。しかしこの二〇年、九州連合長老会加盟教会数八教会一伝道所は、数字上まったく変化していない。それを「現状維持」と捉えるのか、「怠慢」と捉えるのか、その判断は主に委ねるとしても、個人的には御前に申し訳ない思いにかられて仕方ない。
 しかし、それでもなお我々がここに存在する意義は何か。九州連合長老会では、加盟教会に就任した教師に誓約を求めている。規約にも「加盟教会に新たに就任する教師は、会議において、本条の定める信仰の告白を誠実に受け入れることを誓約しなければならない」(第U条?)と明記され、それは発足当時から一貫して守り続けていることである。
 誓約が意味することは、単に牧師個人の信仰告白への忠実さに留まらず、それはその牧師の就任(宣教と牧会に関わる全般)に対して、九州連合長老会が共同の責任を負うという表明である。もちろん日本基督教団が行う就任式において人事は教会的な業として完結すると法的には理解される。しかし残念ながらそれだけでは教会の信仰や制度は確保されない。その証拠が前述の引き裂かれた教会であり、またそれを死守する戦いが日々現場では繰り広げられているのだ。ある牧師が苦労する仲間の牧師を心配して「日々また礼拝ごとに教会内において『信仰告白の事態』のような状況に立たされていることを覚え祈ってほしい」と訴えられた。主の教会を形成するために血の滲むような戦いをしている牧師たちがいる。誓約は、その「信仰告白の事態」を個人のものとせず、我々の戦いとすることに他ならない。
 先ごろ、新たに機関紙を発行する運びとなり、その名称をどうするかが話題になった。結局ひらがなで「きゅうしゅう」とすることに落ち着いたのであるが、中にはかつての「鎮西」や「防人」(これは冗談まじりで)という候補もあった。しかし改めて九州は「西の守り」ということを感じた。そのことは教会形成についても同じように言えるだろう。何をもって伝道協力とするのか。それは教会の信仰告白と制度を守ることであり、それぞれの「信仰告白の事態」においてその最後の砦として共に立つことなのである。

錦ヶ丘教会 川島 直道






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