一.はじめに
長老教会の伝統に立つ私共の教会は、長老会を権威の所在として考えます。ですから、長老教会と称するわけです。しかし、日本基督教団の教憲第七条には「教団の所属教会は、…教会総会をもってその最高の政治機関とする。…」とあります。ここから、日本基督教団にある教会は、教会総会をもって権威の所在とすると理解されます。それでは、長老会と教会総会との関係はどのようなものになるのでしょうか。
二.日本基督教団教規による@
このことを考えるためには、日本基督教団の教規を見ていかなければなりません。教規第九七条には、「教会総会において処理すべき事項」が九項目記されています。そして、教規一〇二条には「役員会の処理すべき事項」が十二項目記されています。
教規における役員会は長老会と読み替えて良いのですが、教規の二つの条文をあげることは、紙面の関係でここでは出来ません。ただ「教会総会において処理すべき事項」と「役員会の処理すべき事項」の多くの部分は重なっています。つまり、教会総会議案を作るのは長老会ですので、長老会で処理された事柄を教会総会は審議し採決するということになります。ここで大切なことは、私共の教会の伝統においては、長老会議案が教会総会で否決されることは想定していないということです。それは、私共の教会においては、長老会が権威の所在として受け入れられているからです。
三.日本基督教団教規によるA
しかし、「教会総会において処理すべき事項」の中で、「役員会の処理すべき事項」に含まれないことが二つあります。一つは長老を選出すること」、もう一つは「教区総会議員を選出すること」です。二つ目の方は、教会総会において長老会に付託するという決議をすれば済みます。しかし、一つ目の方は長老会では出来ません。教会総会においてのみ為されることです。ここにおいて、教会総会は長老会より決定的に優位となります。ですから、「教会総会はこの教会の最高議決機関であり、その第一の務めは長老を選挙すること」となります。そして、「長老会は、礼拝、説教、聖礼典の執行、伝道等の教会的行為に責任を持つ。」ということになります。
四.長老の選出
各教会における長老の選出は、教会総会において全数無記名投票という仕方で行っていると思います。そして、過半数あるいは三分の二の得票をもって当選とするという選挙規定を持っている教会が多いでしょう。それは、長老会の決議に神様の御心が現れると信じるゆえに、長老会の構成員である長老には、それだけの教会員の支持・信頼が求められると考えているからです。たとえ欠員が出ようとも、このような規定を持ってきたことの意味を私どもは弁えなければなりません。
五.権威の所在としての長老会
長老とは、長老会の構成員であるということです。そして、長老会が権威の所在であるということは、長老会の決議に神様の御心を見るということです。このことが、長老教会における教会秩序において最も大切なところです。ですから、自分の考えとは違っていても、長老会において決議された事柄に対して、全力で実現に向けて労苦することが牧師を含む全長老に求められます。そして、ここにおいては徹底的な謙遜が求められます。
このように考えてまいりますと、教会総会に提出された長老会議案に対して、長老が反対するということはあり得ないということになります。また、このことについては、現任ではなくなった元長老(非現任長老)にも求められることです。ですから、その発言は、議案の真意を議場に良く理解してもらうためになされることが求められるでしょう。
富山鹿島町教会牧師 小堀康彦
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